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2024.01.01
労務
名古屋自動車学校事件は、定年退職後再雇用された嘱託職員が正社員との間の待遇差が不合理であると訴えた事案です。本記事では、この事件について、同一労働同一賃金の問題に焦点を当て、最高裁判決を踏まえた留意点について解説します。
名古屋自動車学校の元職員2人は教習指導員として60歳を迎え、定年後は継続雇用制度に基づき嘱託職員として、引き続き同じ教習職員として勤務していました。なお再雇用に当たり主任の役職を退任したこと以外、定年退職の前後で業務内容及び責任の程度、配置変更の範囲に相違はありませんでした。
本事案において、定年退職後再雇用された嘱託職員の基本給や賞与が正職員と比較して大幅に引き下げられていたことが争点となりました。
嘱託職員は、同一労働同一賃金の原則に基づき、正職員と同等の待遇を求めて訴訟を起こしました。具体的には、以下のような待遇差が問題視されました。
・嘱託職員の基本給が正職員定年退職時の基本給の60%を下回る。
A氏:定年退職時18万1640円/月→嘱託8万1738円/月(44.3%)
B氏:定年退職時16万7250円/月→嘱託8万1700円/月(48.8%)
名古屋自動車学校事件において、嘱託職員と正職員の待遇差に関する紛争は、第一審地裁判決及び第二審高裁判決は、嘱託職員の基本給が正職員定年退職時の基本給の60%を下回る部分は不合理であると認められ、同一労働同一賃金の原則に違反すると判断されました。
しかし、最高裁は、嘱託職員と正職員では基本給の性質や支給目的について相違(正職員の基本給には職務給・職能給の性質があるが、嘱託職員は役職に就くことが想定されない等、異なる性質がある)があるとの見解を示しました。そのうえで、名古屋高等裁判所の二審判決について「基本給と賞与の支払い目的・性質や労使交渉の経緯についての検討が不十分である」と一、二審の判決を破棄し、審理を同高裁に差し戻しました。
嘱託社員と正社員について同一労働同一賃金の原則に基づき、不合理な待遇差を是正するために、企業は以下の対応をとることが望ましいです。
①基本給、賞与、手当、福利厚生、教育訓練、安全管理といった個々の待遇ごとに待遇差がないか確認する
②待遇差がある場合は、その差が正当な理由に基づくものであるか確認し、理由について説明できるようにする
③待遇差がある場合で、その差に正当な理由がない場合は、待遇差の是正に向けた取り組みを行う
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