新法開始直前!「フリーランス新法」とは

2024.09.30

経営

令和6111日、フリーランス新法が施行されることが決まりました。

近年、フリーランス人口は増加しており、内閣官房から発表されたフリーランス実態調査結果では日本にフリーランスが450万人以上いるとされています。しかし、増加するフリーランスに対しての法整備は進んでおらず、フリーランスへの報酬の不払いやハラスメントなど、様々な問題が発生していることが明らかになっています。

これまでも取引上の立場が弱いものの権利を保護する法律として下請法がありましたが、フリーランス新法では、その中でもフリーランスの権利を保護する目的で「フリーランスと委託事業者との取引の適正化」、「フリーランスの就業環境の整備」を行うこととなりました。

下請法とフリーランス新法では対象となる取引が違うので、注意が必要です。

1) 下請法は業務委託をする事業者の資本金が1,000万円以下の場合は対象外となりますが、フリーランス新法には資本金の要件はありません。下請法の対象となる事業を営んでいるが資本金の観点から下請法の対象とならなかった事業者であっても、フリーランスに業務委託をした場合にはフリーランス新法の対象となります。

2) 下請法では建設工事を業務委託する場合は保護の対象外ですが、フリーランス新法では建設工事の業務委託も対象となります。そのため、一人親方に業務委託している事業者は、下請法の対象とはなりませんがフリーランス新法では対象になる可能性があります。

このように11月からルールが変わるため、今のうちから準備が必要です。

 

【フリーランス新法の概要】

(フリーランス新法における)フリーランスの定義

フリーランスとは業務を受託する事業者であって、次の①、②のいずれかに該当するものをいいます。

    個人であって、従業員を使用しないもの

    法人であって、一の代表者以外に他の役員がなく、かつ、従業員を使用しないもの

 

〇対象となる取引

 発注事業者からフリーランスへの業務委託が該当し、業種や業界は限定されません。

  ※フリーランスからフリーランスへの業務委託も対象となります。

 

〇委託事業者への義務

フリーランス新法では以下のフローチャートのパターン別に、フリーランスに業務を委託する事業者に対して様々な義務が発生します。


引用:https://www.jftc.go.jp/freelancelaw_2024/index.html

公正取引委員会フリーランス法特設サイト

     契約の明確化

フリーランスと委託者の間での契約内容を書面(またはメール等の電磁的方法)での明示が義務付けられます。

 

    報酬支払期日の設定

フリーランスの報酬が適正に支払われるよう、期日(納品日から60日以内)についての規定が設けられます。

 

    7つの禁止行為

委託事業者が、フリーランスに対して1か月以上の業務委託をする場合、以下の7つの行為が禁止されます。

・受領拒否

・報酬の減額

・返品

・買いたたき

・購入・利用強制(指定する物・役務を強制的に購入・利用させること)

・不当な経済上の利益の提供要請(金銭、労務の提供等をさせること)

・不当な給付内容の変更・やり直し(費用を負担せずに注文内容を変更し、または受領後

にやり直しをさせること)

 

    募集情報の的確表示

発注事業者は、フリーランスの募集情報を広告などに掲示する際は、募集情報を正確かつ最新の内容を保つ必要があります。

 

    育児介護等と業務の両立に対する配慮

フリーランスに対して6か月以上の業務委託をしている場合、フリーランスからの申出があった際には、フリーランスが育児や介護などと業務を両立できるように必要な配慮を行う必要があります。

例)納期の繰り下げ、オンライン業務への整備

 

    ハラスメント対策に関する体制整備

ハラスメントによりフリーランスの就業環境が害されることがないための体制整備を行う必要があります。

例)従業員対するハラスメント研修、相談窓口の設置

 

    中途解除等の事前告知、理由開示

フリーランスに対して6か月以上の業務委託をしている場合で、その業務委託に関する契約を解除する場合や更新しない場合は、30日前までに書面、ファクシミリ、メール等によりその旨を通知する必要があります。また、通知された日から契約が満了するまでの間に、フリーランスが解除の理由を発注事業者に請求した場合は遅滞なく開示する必要があります。

 

【まとめ】

フリーランス新法に違反した場合、最大で50万円の罰金が課せられることがあります。事業者の方は知らず知らずのうちに違反をしていることがないように、取引を見直してみてはいかがでしょうか?また、フリーランスの方は、受託先の事業者より不当な扱いをされていないか今一度ご確認いただければと思います。

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